電子工学?情報工学と生体工学の視点から、人間に優しく知的な医療及び福祉に関する機器やシステムを設計?開発する技術者を養成する。すなわち、電子工学?情報工学と生体工学を有機的に融合して、生体システムを解明する機器システムの開発から、診断?治療機器の高度な技術を駆使した開発、及び適切な動作?機能維持を行う技術、さらに楽しく豊かな日常生活を支援するための代替機能システムの開発などに携わる技術者を養成する。
上記の教育理念に基づき、システム生体に携わる技術者を養成するために、生体情報や生体メカニズムを解析?評価することから、診断?治療の技術や生体模倣技術などの医療を支援する工学を扱う生体情報計測工学分野、人間の生体構造メカニズム等生体機能を支援する工学を扱う生体機能制御分野、及び人間の神経や脳の機能を工学システムに応用する工学を扱うシステム脳神経工学分野の3分野において、電子工学、情報工学と生体工学の幅広い科目を統一的に学習する。またプロジェクト活動を通して、問題を自主的に調査?分析し、解決に至る経験を積み重ね、問題解決能力を習得させる。
研究活動を通して、問題解決能力の研鑚、地域の問題の解決に貢献する意識を磨き、表現?コミュニケーション技術の向上とともに、自主的に行動でき、幅広い技術?技能によって総合的な判断力?国際性?倫理観を持った自ら課題を設定できる探究型人材の養成を目的とする。
システム生体工学科では、下記の能力を身につけることを目標とする。
a 高齢社会、生命、健康などを、社会情報や生命倫理への深い関心と多面的な視点から考えることが
できる。
b 技術者として地域社会への貢献や、技術を運用する責任と倫理について考えることができる。
c 論理的な記述力、論理的に推論できる能力、技術者としてのプレゼンテーション能力、及びディス
カッション能力を持つ。
d 課題を調査?分析し、最適な解決策を提案?実施することができる。
e 情報科学、電気?電子工学などの医工学のシステム開発において、基礎となる技術を理解し、応用
することができる。
f 生体機能の基礎を理解し、福祉システムを設計?開発することができる。
g 神経工学?医療などに関連する診断?治療?生体システムの基礎を理解し、医用システム機器を
設計?開発することができる。
h 電子工学、情報工学と生体工学について、先端的な技術内容を自主的に理解し、さらに研究を通
して応用し、システムとして実現することができる。
前記の教育目的と教育目標を達成するために、次の講義、実験?演習及び研究のカリキュラムを開設し、年次に従って実施する。
1)共通教育科目では、幅広い知識を習得し、技術者としての倫理観や倫理的な判断能力を養う。
2)そのうち自然科学科目では、数学?物理?情報科学などの理論及びシミュレーション能力などを習得する。
3)専門基礎科目では、電気?電子?計測?制御?通信?信号処理?生体?バイオ関係の基礎技術を習得する。これに加えプロジェクト活動を行い技術者としての基礎素養を習得する。
4)生体情報計測工学分野の科目では、生体?神経?診断?治療技術に関する工学技術を統一的に習得し、幅広い視点から論理的に判断できる能力を養う。
5)生体機能制御分野の科目では、メカトロニクス?生体機能代替技術?福祉システムなどの福祉工学に関連する高度な技術を体系的に習得する。
6)システム脳神経工学分野の科目では、脳科学、神経工学を工学的システムに応用する技術を習得する。
7)卒業研究では、地域に貢献できる技術課題を、指導教員とマンツーマンで検討?解決する。この過程で、技術者としての自主的な課題解決能力とともに、新たな課題を設定できる課題探究能力を習得する。
8)生体情報計測工学分野、生体機能制御分野、及びシステム脳神経工学分野に分けての履修は、履修モデルに従う。
実際の教育では、次の方法を実施する。
1)各講義、実験?演習においては、それぞれの授業目標や授業計画を明記したシラバスを作成し、各年度授業開始時前に配布し、学生の履修計画の立案に利用させる。さらに、成績評価の基準を明確にし、シラバスに明記して基準に厳格に従った評価を行う。
2)卒業研究においては、適切な時期に学生を各研究室に配属し、個別の研究課題を課し、指導教員がマンツーマンで育成指導を行うとともに、各研究室において継続的にゼミ?演習などを実施し、研究課題を解決するための先端的な内容を学習させる。
3)専門科目においては、必修科目の他に選択科目を配置して、学生の自主的な判断と興味により、専門を選んでの学習を可能としている。選択科目のうち、特記すべき科目としてインターンシップの制度を用意している。このインターンシップでは、3年次夏季休業中2週間程度で地域の団体や企業に出向いて実社会に触れ、作業を実際に体験し見聞を広めるとともに、技術者としての意識を高めて地域貢献の感覚を育成する。
4)教育効果を上げるため、新しい教育方法を検討し、実施に努力をはらう。たとえば、実験?演習ではティーチング?アシスタントを配置し、教員の目が行き届かない点を補う。また、授業アンケート、科目間の連携、演習?宿題など、学生の自主学習を促すための方策などを行う。
5)学生の側においても勉学の努力をさせるため、オリエンテーションにおける指導や、個々の講義における成績評価としての複数回の試験、演習?宿題を課すとともに、履修単位数については年次ごとに設定された下限以上となるように、個人面談を通して指導する。