前橋工科大学 総合デザイン工学科 韓亜由美教授が、ディレクター兼デザイナーとして設計した朝霞浜崎団地大規模改修 [アーバンフォレスト朝霞浜崎団地 バリューアップ計画] が、2014年度グッドデザイン賞(公共用の空間?建築?施設部門)を受賞しました。
■ 2014年度 グッドデザイン賞 ■
- 朝霞浜崎団地大規模改修 -
[アーバンフォレスト朝霞浜崎団地 バリューアップ計画]
ディレクター/デザイナー 工学部 総合デザイン工学科 韓 亜由美 教授
【受賞対象の概要】 |
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住む人を主役にしたデザインによる団地の住環境再生計画。首都通勤圏の朝霞市、築38年975戸のUR賃貸住宅は保育園 や店舗、緑地等を含む一街区を成す。現在住むのは、高齢者、子育て世代、独身世帯と多様。URとデザイナー、アーティ ストが協働し、住民の方々の生活動線を包む居心地良い愛着の持てる住環境に再生した。特に街区や住棟の共用部全体を 軸に、統一的なコンセプトで団地特有の均質性ゆえの疎外感を払拭し、住む人の日々の生活環境に相応しいIdentityと豊かな表情を付加した。単なる改修に留まらずトータルなデザインによって団地の「裏」を「表」に転化させ価値化した。 今、団地に棲む新たな魅力を発見してもらいたい。 |
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【受賞対象の詳細】 |
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背景 |
URが所有/管理する70年代の賃貸団地のストック活用として、今回、住棟の大規模改修を機にデザイナーやアーティストを登用し、ハードのコストを抑制しつつ従来手法にとらわれない自由な方法論を探った。住む人が愛着を持ち、「友だちや彼女を呼べる」ように、斬新で洗練されたデザインによる団地再生を目指した。 |
デザインコンセプト |
「URBAN FOREST/団地は森」首都圏かつ武蔵野の面影ある地域に森の豊かさと共生をイメージ |
企画?開発の意義 |
今回、経年劣化と無関心で疲弊した負の状況を、生活動線とコミュニケーション機会を活性化するコモンズ的発想で団地住民の自己イメージの変革を促し、住環境への関心とプライド醸成を図った。森の生態系が多様な生命の相互関係によってバランスを保ち豊かさを持続させるように。 |
創意工夫 |
どこも均質な団地の空間を豊かな森のイメージで大転換させるため、ディティールは繊細で有機的なアート表現を用いながら、全体はシステマティックな空間構成で統一感を貫いた。フロア毎に住人がアイデンティティーを感じられるよう外壁?内壁の塗装について綿密な色彩計画を行い、住棟内のあちこちに森の世界観でアーティストの描く各階固有の動植物のイラストを配置した。それが日々の生活動線の中に物語性を生み、出会いある風景を作る。進入禁止や落下防止の柵は、デザインフェンスを用い逆にアクセントに。住棟エントランスは、玄関に相応しい洗練されたデザインで、パブリックとプライベートの境界として位置づけた。オリジナルのロゴやサインなどが空間全体に整然とした統一感を高め引き締めている。居住中の工事であるため、コンセプトの理解と完成後の期待感を高める工事中景:仮設物デザインやワークショップにも取り組んだ。 |
デザイナーの想い |
私自身、団地の高層階に住んだ経験がある。寝食の基盤で家族生活の舞台である住環境の影響は計り知れず大きい。コンクリートの箱の均質なマス目の中で、思春期の私は無力感を感じることもあった。一方、人間的な居心地の良い環境は人を包容し、人はそこに出会いや活動の場を築き共感や愛着を育む。そんな風に、現代の団地をコモンズとして、多様性の受け皿、子ども達の原風景としてデザインした。(韓) |
【審査員の評価】 |
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高層団地の外観と住棟内吹抜に施されたグラデーショナルなカラーリングとグラフィックが楽しい。標準的な団地住棟を対象にした個性と魅力を見いだせるリノベーションモデルとしての質が評価された。 |